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開発ストーリー(2)

設計から取り組む◆特許出願。〜試行錯誤の日々〜

特許の申請を済ませ、機械の設計に入りました。木製の製図版、T型定規・三角定規などの製図用具を買い、中学の頃に習った製図を思い出しながら手書きで図面を描き始めました。

近所の工場からドラフター(画像奥に置いている製図機)を頂き、「こんな便利なものがあったとは!」と感激したりしました。
 設計図には、完成図(正面・側面・俯瞰図)のほかに使用部品点数だけの部品図が必要です。機械1台あたりおおよそ数十から百枚の図面を作成しなければなりませんでした。


◆手作りの機械!?〜機械を製作する〜

図面ができると、今度は各部品の見積依頼・発注、出来上がって送られてきた部品の組み立てと調整、テストして改造を繰り返します。小型のボール盤・電気溶接機・グラインダーなどなど購入した限られた工作機械でそんな作業を行うのですから、気の遠くなるような作業の毎日でした。

 朗報もありました。会社発足時に申請しておいた特許が、申請の通り製品の形態特許※として承認が得られたのです。このことで、特許として守られる範囲が格段に広くなります。おかげで、安心して開発に取り組める後ろ盾となりました。
 ※昆布を厚さ方向と長さ方向に同時に斜めに削ぎ切りした薄肉小片の昆布という形態。

 その後もすべての工程において数えきれない試行錯誤を繰り返し、6台の機械を並べた製造ラインが完成したのは、創業から6年の歳月が経った、1999年のことでした。準備した資金はほとんど底をついていました。

 

◆花けずりこんぶ、誕生!南かやべの白口浜真昆布のすばらしさ

白口浜真昆布を使用した花けずりこんぶ いよいよ実際に各地の昆布を削りながら、製造テストと装置類の改良を始めました。
北海道南かやべ産、白口浜真昆布を削ったときのこと。ついに、そのときがやってきたのです!
轟音を立てて高速回転する切削機から、薄く削れた真っ白い削り昆布が勢いよく飛び出し、ベルトコンベアの上に強い風で吹き寄せられる雪のように重なってゆくありさまを感激しながら眺めていました。
 ちょっとつまんで口に運んでみると、ほのかな温かみとともに上品な昆布の香りとおいしさが広がりました。
そのつややかな切削面は、乳白色にごく薄い黄緑を帯びた色合いがとても美しい。かねてよりイメージしていたものにピッタリの製品が目の前に現れたのです!

何度食べても飽きないおいしさ。一つまみしては口に運ぶ幸せ感。
まるで出会って削り昆布に加工されるために長年進化したような白くふくよかな肉厚に成長した「真昆布」のすばらしさに感激していました。
 今までの苦労はすべて報われた感じがしました。ほかの昆布に大差をつけて「花けずりこんぶ」に最適な原料が決まりました。


◆製品は完成、でもお金がない! 
グラフ:グルタミン酸溶出試験

 削った製品を岩手県工業技術センターで調べてもらうと、この製品には開発者が思った以上のメリットがありました。同じ原料昆布を削らない状態と比較して、昆布のうまみの出方を計測してもらいました。

 すると、原料昆布は数十分かかってもすべてのうまみが出きらないのに対し、花けずりこんぶは、ほぼ90秒でほぼ含まれているうまみが溶け出すことが分かりました。

 花けずりこんぶを食べた方は、「思ったより、うまみが濃いのですね。」と言われますが、このことをおっしゃっているのかもしれません。



思ったような製品ができたのに、この時点で、資金がない。
「これからという時なのに、どうやって事業を続けていけばいいのか?」
悩む私に、思いがけないチャンスが舞い込んだのでした。

 

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